6話
自分のベッドでぐっすりと眠っていたむつは、リビングからの物音で目を覚ました。菜々とこさめが帰ってきたのかと思ったが、それにしては大勢がいるような声がする気がした。怪訝に思ったむつは布団をどけて、そっとドアを開けて隙間からリビングを見た。
「…あ、むつ?」
ドアの音に気付いたのか、こさめが声をかけてきた。むつはドアを開けて、頷きながら部屋から出た。リビングには誰も居ない。キッチンに菜々とこさめが居るだけで、テレビが夕方のニュースをやっているだけだった。寝ぼけてテレビから流れる音に、大勢がいるような気がしていただけなのかもしれない。
いくら浮遊霊が大量に居る所に、長い時間居たからといって、知らず知らずのうちに神経質になっていたのかもしれない。むつは、ふっと息を吐いた。菜々とこさめが居るだけで、部屋の中には他に何も居ないし、いつもと変わりなかった。
「おはよ…いつ帰ってきたの?」
「ついさっきだよ。むつ寝てたからほっといたけど…何か大変だったみたいね。洋服ビリビリじゃん」
「まぁね。何?夕飯の支度?手伝おうか?」
むつがキッチンを覗くと、菜々とこさめは、大丈夫だからと言った。だが、むつは少し心配だった。




