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6話
一眠りしたが、服はぼろぼろ傷だからのむつは明日、通常に出社するようにして今日は帰るように山上と颯介から言われた。確かに、あちこち傷だらけで服もやぶけている。素直に頷いたむつは、バイクの鍵を持った。
「バイクで帰るの?大丈夫?」
「大丈夫だよ。ここまで車運転してきてるんだよ?それに、ちょっと寝たし大丈夫」
颯介が心配そうな顔をしていたが、むつは大丈夫だと言い、マフラーを少し下で巻いて胸元を隠した。駐輪場に置いてあるバイクにまたがり、ヘルメットをかぶった。スリップして転んでから乗ってなかったからか、少し緊張はした。だが、エンジンをかけて走り出してしまえばどうって事はなかった。
平日の昼間の道は空いていて、走っていても気持ちがいい。電車のように時間通りにとはいかないし、冷たい風で頬は痛いくらいだが、そんな事は気になりはしなかった。




