6話
「うーん…何かさ、能力なくなってちょっと嬉しかったりもしたの。わ、ふつーだっ‼みたいなさ。でも、無いって分かってから、ちょっと怖かったの」
「それ、戸井さん所でも言ってたな」
「うん。能力も自分の一部だったんだなって改めて分かったの。祐斗と一緒にお地蔵様の所にいて、相手が人じゃないくらい強くって…どうにも出来なくて、このまんま死ぬのかもって。そう思ったら怖かった。何も出来ず、皆も怪我しちゃって…仕事しててさ、何回かうわ、死ぬのかもって時あったけど、怖さはなかったの。でも…何でだろ」
むつは颯介が濃い目に淹れたお茶に口をつけて、一口飲んだ。よほど濃かったのか、少し眉間にシワを寄せた。
「むっちゃん、自信がないんだね。むっちゃんの力は強いし、いつも俺ら助けて貰ってたし、それでむっちゃん自信も助かってたけど、それが無いからね。みんなを巻き込んだし、相手に対して手も足も出なくて余計に怖かったんだろうね」
「…それは、あるかも。うん、自信ない。仕事やり遂げられる気がしない…でも、ここで降りたくはない」
「意地っ張りだな、頑固だし。ま、力が使えない分は、周りに助けて貰えばいいだろ。大丈夫だろ、祐斗も意外としぶとかっただろ?」




