6話
目を閉じて、ごろんごろんっと寝返りを打っていたむつだったが、毛布を身体に巻き付けたまま起き上がった。髪の毛が、ぐしゃぐしゃになっている。
「…起きたか?」
「ふぁあい」
欠伸をしながら返事をしたむつは、首を傾げている。仮眠を取っても寝起きは良い方のむつが、今日に限ってはなかなか目覚めがよくないのか、座ったまま寝そうになっている。ダメだなと思ったのか、冬四郎は祐斗の前に座ると昨日の事を聞き始めた。
むつはまだ腰を捻ったり伸びをしたりしている。西原はそんなむつが気にもなるが、仕事をしないわけにもいかない。冬四郎と共に祐斗の話を聞く事に集中した。
ようやく頭がしゃきっとしてきたのか、むつは毛布を片付けた。そして、3人に背を向けたまま座り込み動かない。一通り話終えたのか、祐斗がむつの方を見た。むつは相変わらず背を向けたままだった。
「むつさん?あとは、むつさんから女を追った時の話を…って、むつさん?起きてますか?」
「起きてるわよ。眠いけど…」
「むつ、女を追って祐斗君と別れた辺りから話して貰えるか?俺らが合流するまでの間の事を」
冬四郎に言われるとむつは3人の方を向いて、座り直した。眠いのか不機嫌なのか、目が据わっているようだった。




