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よろず屋 -無い物は-  作者: 幹藤 あさ
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5話

西原は石段の前までやってくると、目を細めて上を見上げた。眼鏡をしているとは言えど、暗い慶大の方はあまりよく見えない。西原が石段を登っていこうと足をかけた時、微かに悲鳴のような声が聞こえた。


「…むつ?」


じっと上を見上げていると、ゆらゆらっと人影が見える。かなりもみ合っているかのようだ。


「むつっ‼」


さらっと長い髪の毛が馬の尻尾のように揺れているのが分かり、むつだと確信した西原に一気に石段を駆け上がっていく。 だが、西原はもう少しで登りきる所で足を止めた。これ以上近付いては、危ないし動けなくなると思ったからだ。


女ともみ合っているように見えたむつだったが近付いてみると、地面から足が浮いている。


「賢明だわ。近付けば死ぬわよ、この女」


胸ぐらを掴まれ持ち上げられているむつは、石段の上に突き出されている。ここで女の手が離れればむつは、石段を転がって落ちていくだろう。西原は、ぎりっと歯軋りをした。

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