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5話
むつは寒さを忘れたのか、ぐいっと袖をまくった。緊張のせいなのか、手は汗でびっしょりと濡れている。むつはそれをズボンで拭った。
女は祐斗には目もくれずに、むつだけを見ている。地蔵を壊すのを邪魔したのが、そんなに悪かったのだろうか。
祐斗は半歩ほど下がった所から、女同士の戦いだと思い、緊張しながら今は2人を見守るしかない。むつがどう思っているのか、祐斗には分からなかったがタイミングを見計らって助けに入らなければ、確実にむつが大怪我するのが目に見えていた。
むつと女は睨み合っていたが、先に痺れを切らせたのは女だったのか、バットを振り上げて、むつに迫ってきた。緊張した様子のむつだったが、冷静さを取り戻したのか、自分に向けて降り下ろされるバットを見ていた。




