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5話
「ふーん…ま、今は関係ないからいいや」
むつはしゃがんだまんま、壊れた地蔵を見ている。見ているといっても、暗い中ではあまり見えていないだろう。
「むつさん、寒いですし…考えるなら車の中でも出来ますから戻りましょう。風邪ひかれると、困りますから」
「ん…狛犬はどうする?帰る?」
「我も居てやろう。どうせ、戻っても小言を言われるだけだから」
嬉しそうにむつは頷いて、寒い寒いと言いながら車に戻った。だが、運転席には座らずに、後部座席に狛犬と一緒に乗って毛布を膝にかけている。
「ねぇ祐斗。昼間と何か違いありそう?」
「視る感じ、変わりはないと思います」
「だよね…でも増えててってるし、どこからか入ってくるやつが居るはずなんだよね。入り口が分かれば…」
「何か漁をする時の罠みたいですよね」
「イメージ的にはね。でも、浮遊霊なんて集めても…実体がないから労働には向いてないし。何なんだろ」




