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5話
駅前の鍵屋で、菜々とこそめそれぞれに1本ずつの鍵を作り、キャラクターのキーカバーをつけてから渡した。そして、むつは電車に乗り込むと事務所に向かった。昼間の中途半端な時間のせいか、車内は空いていて余裕を持って座れた。
ぼんやりと窓の外を眺めていると、ぶぶっと上着のポケットの携帯が振動した。祐斗からのメールだ。見るか見ないか悩んだむつは、結局見る事なくポケットにしまった。最寄り駅で降りたむつは、コンビニでタバコと炭酸水を買うとそれを片手にぷらぷらと事務所に向かった。
「おっはよーござーいーまー」
「よ、おはよう。報告は?」
「おはよう。今日は夜動くんだって?」
「うん。夜の観察しようと思ってさ。報告は…道が結界の役割をしてると思う。あとは分かんない」
颯介と山上の質問に答えたむつは鞄を置いて、コーヒーを淹れて戻ってきてからようやく祐斗からのメールを思い出した。
「あ、そういやぁ…祐斗寝坊したってよ」
「そうみたいね。メール来てたわ」
むつな祐斗に返信をすると、一応パソコンの電源を入れてメールが届いていないかのチェックを始めた。




