5話
翌朝、昼近くなってから目を覚ましたむつはベッドの中で寝返りをうち、まだ出たくない様子でうだうだとしていた。だが、2度寝をしたら遅刻しそうだと思い布団をどかした。床には、こさめ用の布団があるがすでに起きているのかきちんと畳んである。菜々の姿も見当たらない。
私室から出たむつはリビングを見回した。だが、2人の姿はなかった。ダイニングテーブルの上に、炒飯がラップして置いてある。その下にはメモ書きがあった。菜々の字で、こさめとスーパーに行ってくると書いてあった。
起き抜けのむつは、私室に戻り携帯を取りパーカーからタバコを取り出した。コーヒーを淹れてから、タバコに火をつけようとして、ふっと手を止めた。自分のではなく、冬四郎のだった。何故なのか思い出そうと考えたが、そんな事よりもと携帯を見た。
着信が1件とメールが届いていた。着信は昨日の冬四郎からのもので、メールは西原からだった。律儀にも、むつが頼んだ事をもう調べてメールをしてくれたようだった。
メールを見ながら、タバコを吸っていたむつは、気分的には休日なのか、着替えるのも出るのも面倒になってきたとばかりに、ソファーにだらっと横になった。




