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4話
「ははっ…でも、本当に学ぶ事はありますから。とりあえず、西原さんに連絡しますよ?」
「うん」
帰ると決めると、祐斗はかじかんだ手で携帯を操作し西原に電話をかけた。西原はすぐに出たのか、祐斗が帰る事を伝えている。むつはその間に、タバコを取り出してまた吸い始めていた。
「…分かりました。すみませんが、よろしくお願いします。はい…はい、失礼します……むつさん、駅前の喫茶店で待ってるようにって…寒いから」
「…祐斗をパシらせた所に結局行くのね。ま、そうしよ。おトイレも行きたいし」
「ですね」
空になった紙コップをゴミかごに入れ、タバコを携帯灰皿に入れるとむつは立ち上がった。すでに太陽が落ちて、町並みが灰色っぽくなってきている。
「…何か気味悪いね。早く行こう」
「そうですね」
むつと祐斗は、暗くなり浮遊霊が白っぽく闇に浮かびたがっているのを目の当たりにし、ぶるぶるっと身体を震わせた。そして、その場から逃げるように振り返りもせずに、駅前の喫茶店に向かって歩き出した。