4話
十字路の道を真っ直ぐ前から車がやってくると、むつは祐斗の袖を引いて端に避けた。むつは、何となくなのか車がやってきて走り去るのを眺めていた。
「………」
むつは車を見送り、そのあとをふらっとついていった。
「むつさん?」
祐斗に呼ばれると、むつは振り返って首を傾げた。そして、来い来いと手招きした。何か分からないまま、祐斗はついていく。むつは、車と同じ様に公園の手前の道を地蔵のない方に、公園の裏の方に出る道を歩いていく。そして、ぐるっと公園を回るようにして遠回りをして大通りに出た。こっちの道には、霊も何もいない。
「…どうしたんですかん?」
「こんな遠回りしなくても真っ直ぐ行けば大通りに出れるのに。そんなに…こっちからのが出やすいのかなーって」
「そんな事ですか?信号の関係とかじゃないですか?俺は運転しないんで、何とも言えないですが」
「うーん…」
むつは大通りに出ると、先程入った細い道と今出てきた細い道を見比べた。確かに、出てきた方の道の手前に信号があり、信号が変わればすぐに出れるのだろうが、公園1つ分の距離しか変わらない。どちらから、出ても同じ様な気がしていた。