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4話
「…行きますか?」
「遠慮したいな」
そうは言ったが、いつまでもここに立ち尽くしていても変に思われるだろう。むつは、それを避けたかったのか何もないように細い道に入っていく。大通りから1歩入っただけで、気温がまたぐっと下がったような気がした。
祐斗はおそるおそるといった感じで、むつの後ろからついては来ているが、早くも顔色が悪い。
むつと祐斗が来た時よりも、浮遊霊は格段に多く、避けて歩く事も出来ない。そもそも、ぶつかる事はないから避けなくても良いのだが、祐斗にはむつよりもくっきり視えているせいか、人込みの中で身動きが取れない人のようになっている。
「むつさん、待ってくださいよ」
「…この際、我慢してすり抜けなよ。ぶつからないの分かってるんだからさ」
呆れたようにむつは言ったが、むつも出来る事なら避けながら歩きたいという顔をしている。




