4話
「何があったんすか?」
「そんなに気になる?」
「なります‼西原さんもよそよそしいし、むつさんも変だし。なぁんか気まずいなーって感じでしたよ?」
「そのうち話すから。もう…行くよ‼」
むつと西原の間で何があったのかが、気になって仕方ない祐斗だったが、神社が近付いてくると、その事を考えるのは止めた。むつもすでに、仕事モードに入っているのか、少し近寄り難いようなひんやりとした表情をしていた。
「土地神様の所に寄りますか?」
「ううん。行かなくてもいいでしょ。狛犬に土産を持たせて、帰らせたらいいんだから」
神社の前までやってくると、むつはしゃがみこんで祐斗が持っていた、菓子を詰め込んだ袋を狛犬の口元に持っていった。
「これ、持ってお帰り。話をしてくれないなら、一緒に居なくてもいいでしょ?私にそう言われたって伝えてくれていいから」
わしわしと頭を撫でてやると、狛犬は何か言いたそうにむつの顔をじっと見ていた。
「…何かあったら、こっちから出向くよ。さ、お帰り。また…遊びにも来るから」
優しげに言い聞かせると、狛犬は菓子の入った袋をくわえると、とっとっとっと石段を登っていく。途中、振り返りもしたがむつが手を振ると、また登っていった。