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4話
「で、どうする?お地蔵さんの所で良いのか?」
「うーん…神社の前で」
「帰りはどうする?あれなら送ってやるけど」
「連絡しようがないから、いいよ」
「谷代君が西原君の連絡先知ってるだろ?どうせ、帰るまでは西原君と行動だからな…」
冬四郎は神社の少し手前で車を停めて、後ろに座っている祐斗を振り返った。祐斗は、西原の連絡先は分かると頷いた。
「谷代君、場合によっては連絡してくれるかな?俺が身動き出来る時ならむつと一緒に家まで送るから」
「ありがとうございます」
「分かったな、むつ」
「はぁい。ありがと…じゃあ、また祐斗が連絡すると思うから、先輩に…」
むつはドアを開けて、狛犬を先に降ろしてから車から降りた。車道側に座っていた祐斗は西原に1度、降りて貰ってから車から出た。
「…気を付けていってこいよ?」
「ん、分かった。ありがと…」
西原に見送られながら、むつは祐斗を急かすようにしてぱたぱたと神社の方に向かって行った。ばたんっとドアの閉まる音がし、冬四郎の車が追い越していくとむつは、はぁと息をついて歩調をゆるめた。




