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4話
「あ、そうなの?あたしはお地蔵様の先にある公園まで見たけど…長居は出来なかった。土地神様の言ってたように、浮遊霊多かったし、何か寒気がしたからすぐに離れたし、ちゃんとは視てないんだよね」
「俺らでも近寄りにくくないですか?」
「近寄りたくない、だよね。特に祐斗なんて、あそこに長居は出来ないんじゃないかな」
「そうなんですよね…」
はぁと祐斗が溜め息をついた。行くか行かないかで、悩んだのはあの場所が嫌だったからなのかも、とむつは今頃になって思った。
「…祐斗さぁ、あの場所だから行きの渋ったんだよね?ごめんね、来て貰っちゃって」
「いえ、いいんです。これも経験になりますよ。それにしても…むつさんは頼られたら断れないタイプですよね」
「あーイエスマンなのかも。宜しくないわねぇ…今の日本人を象徴するかのようだわ」
ふっと鼻で笑ったむつは、前を向いて座り直した。冬四郎がハンドルを握りながら、口の端を持ち上げてるのに気付くと、むつは無言でぱしんっと太股を叩いた。