4話
「ねぇ、しろーちゃん?電源入ってないって電話で言ってたよね?」
「…あ、そうだった。なら、菜々ちゃんかこさめさんに電話しろ。って…番号分からないよな」
むつは、うーん?と言いながら身を乗り出して、運転中の冬四郎のジャケットのポケットに携帯を落とし入れて、後ろを向いた。西原とばっちり目が合ったむつは驚いていたが、すぐに視線を外した。
「祐斗、携帯貸して?菜々に電話する?」
「あ、はい。いいですよ」
「谷代君のじゃなくて、俺の使えばいいだろ?」
画面のロックを解除して祐斗が携帯を差し出すと、むつは受け取り前を向いた。
「…いいの‼」
むつは菜々の番号を覚えているのか、さくさくと番号を押すと、携帯を耳に当てた。コール音が響いて、相手が出た。
『…はい?』
「あ、菜々ー?あたし、むつ」
『はっ!?むつ?あんた携帯、家に忘れてったでしょ?まったく…で、この番号誰の?』
「うちの祐斗。でさ、今どこ家?」
『うん。家でDVD勝手に観てるよ。二日酔いで頭痛いもん…』
「ん、なら今日は家に居て。あたし、ちょっと帰り遅くなるかもしれないからさ」
『あら…そうなの?夕飯は?』
「家で食べたいから、何か作っといて」
『おっけ。何時になるかは、分かんないのよね?』
「うん…分かんないけど、ちゃんと帰るから起きててよ?終電には乗ると思うしさ」
『分かったわよ。気を付けてね?あんまり遅くならないうちに、帰ってきてよ?』
「うん‼分かった…じゃあ、ね」
『はーい』