表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋 -無い物は-  作者: 幹藤 あさ
170/753

4話

祐斗が詰めた菓子と新しく淹れた茶を持って、むつが戻っていくのを祐斗はキッチンから見ていた。


「お待たせしました」


土地神と冬四郎、西原は会話もなくぼんやりと茶をすすっていた。狛犬は誰からも菓子を貰えなかったのか、土地神の足元で拗ねたようにうずくまっている。


にこにことした土地神は、むつから紙袋を受け取って本当に嬉しそうにしている。その笑顔を見てむつも、微笑んだ。暗い目とは対照的に、その顔は怖さも威厳もなく、親しみやすさがあった。


淹れ直した熱い茶をすすり、土地神は、ゆっくりと立ち上がった。そろそろ帰るつもりなのだろう。むつは、少しほっとしたような表情を見せた。


「…狛犬は置いてくからね。便利に使ってやってくださいね」


「えっ!?」


何で、と言いかけたむつだったが口を閉ざした。すでに目の前に土地神の姿はなく、くすくすと悪戯っ子のような笑い声が微かに残っているだけだった。


「お、押し付けられた…」


どさっと椅子に座ったむつは、手をつけずに冷めていった茶をすすった。置いていかれた狛犬は、むつの様子を見て首を傾げている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ