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4話
にっこりと微笑んだ土地神は、レーズンの練り込まれたクリームが挟んであるクッキーを美味しそうに食べている。
「ふむ…これは良いの」
「…まだありますし、お持ちになられますか?」
「良いのかね?」
「えぇ。包んで土産用にしてきますね」
ついでにと、空になっている湯飲みを持った。むつがキッチンに入っていくと、手伝おうとしたのか祐斗も後からやってきた。
「…むつさん、あの…」
「うん、それも一緒に包んで」
祐斗の耳元に顔をよせたむつは、小さな声でさっさとお帰り頂きましょと呟いた。祐斗は困り顔を見せたが、むつの言葉にしたがうようにして、菜々とこさめからのお土産だった菓子を、むつが昨日買ってきたケーキの入っていた小箱に詰めた。見映えがよくなるように、ペーパーナプキンなんかも入れている。
「レーズンの多めに。あたし…嫌いだし」
「押し付けじゃないですか…俺もレーズンは苦手なんですけどね」
くすくすと笑い祐斗は、レーズンサンドを多めに詰め込み、小さな紙袋に入れた。