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4話
「…だと良いんですが。では、お話をお聞かせくださいますか?」
濃い目に入れたお茶を飲み、土地神はむつの顔をじっと見た。一緒に来た冬四郎と西原の事は、視界にすら入っていないようだった。
「地蔵がある一帯の異変をどうにかして欲しい」
「…土地神様であれば、人の手など借りずともどうにでも出来ると思いますが」
「あの一帯は血で汚れているから、近寄りたくはない。浮遊霊が多くて、あのままじゃ町に溢れる。その前に、どうにかして欲しいのだよ」
「あの一帯に霊を押し込めているのは、土地神様のお力ですか?」
「いいや。とにかく、どうにかしないと…土地が汚れていくのだけは、勘弁願いたいのだよ。人の手で汚したからには、人の手で…お嬢さんが何かしたわけではない事は重々承知の上だがね」
「…具体的にどのようにしたら宜しいでしょうか?」
「元の道に戻して欲しいのだよ。返事をすぐに欲しいとは言わない。お嬢さんにも考える時間は必要だと思うからね…けど、端から断る気もなさそうで良かったよ」