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4話
「折角だし、診て貰ったらどうだ?あの怪我じゃ風呂入るにも痛むだろ?」
「…でも」
「コートか何かで隠せば良いだろ?向こうのソファーでズボンだけ脱げよ」
山上に言われると、むつも頷くしかないのかソファーに向かった。冬四郎が脱いだコートをむつに渡すと、むつは前後逆にして腰の所で、ぎゅっと袖をしばった。ソファーに座り、むつはズボンを脱いだ。コートの端から、ちらちらと太股が見えている。
むつの前には、柔和な表情の老人が膝をついて座り、そっとコートをめくった。足首から膝にかけて、赤黒くなった箇所を老人の乾いた手がそっと撫でた。むつは何ともいえない、感じに鳥肌を立たせ足をひっこめようとしたが、しっかりと足首に掴まれていた。
老人は構う事なく、軟膏をむつの足にぬっていく。足首から膝に向けて、マッサージをするような柔らかな手つきだった。だが、むつは眉間にシワを寄せて少し嫌そうな顔をしていた。




