4話
電話で言っていた通り、10分もすると足音が聞こえてきた。そして、とんとんっとノックする音が聞こえた。祐斗は、ちらっとむつを見た。むつは、軽く首を振ると面倒くさそうにしつつも、立ち上がりドアを開けようとした。だが、その前にドアが開いて冬四郎が顔を見せた。
「お、居たいた。良かった」
ほっとしたように冬四郎が言うと、何か腰の辺りにさらさらとした白い物が見えた。むつが眉間にシワを寄せるようにして、目を細めるた。
「あのな、ここって…あ、こら‼」
しゃがんで何かを掴むような素振りを見せた冬四郎だったが、その手をすり抜けたのか、どどっと床が鳴る音がした。むつが何かと気にして少し身をかがめると、すぐ目の前に白い物が迫っていた。
「へ?」
ボールのように弾んで、白い物はむつに体当たりをした。ぐらっとバランスを崩したむつは、咄嗟に手を伸ばしたのか机の上のレシートや領収書を巻き上げて、仰向けに倒れた。がたがたっ、ごんっと痛そうな音を響かせていた。
「…いっ、たぁ…ちょ、何!!うっぷ…きゃあ」
何が何だか分からないむつは、頭を打ったのか痛そうに顔をしかめつつ、目を開けて目の前の物を見て、じたばたとしている。




