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4話
「宮前さん、何て言ってたんですか?」
「今から来るってさ」
「あ、そうなんですか?」
ふーんと祐斗は言っただけだったが、何か心当たりでもあるのか山上は首を傾げていた。むつは、もう興味を牛なかったかのように、また画面とのにらめっこを始めていた。
顔色が悪いうえ、食欲もないし、冬四郎が来るというのに表情1つ変えないむつを祐斗は、不思議な物を見るように、こっこりとパソコンに隠れるようにして観察していた。能力が使えなくなったという事を話した時には、あんなにもころころと表情が変わっていたのに、それ以降のむつはあまり表情の変化がない。笑ったりはするものの、周りが笑うから、とりあえず笑ってる感がいなめない。本人はそれに気付いているのだろうか。何となく、周りに流されているだけのように見え、祐斗にはそれが気がかりだった。だからといって、何か出来るわけでもなく、こっそりと溜め息をつくしかなかった。
祐斗の心配に気付いているのか否か、むつは目を細めて画面を睨んでいる。やり直しても、どこで間違えているのか、なかなか進まないようだった。