4話
くすくすと笑い合いながら、事務所に戻ってきた4人は、のんびりとコーヒーを飲んでいたが、やがてそれぞれの仕事に戻っていった。山上もやる事ないと言っていたが、実際には目を通すべき書類はある。
コーヒーの香りと、キーボードを叩く音、紙の擦れる音だけが静かに事務所内に漂っていた。
相変わらず、むつは眉間にシワを寄せて画面と手元のレシートと領収書を、交互に見ては、電卓を叩いて何やらメモしたり、キーボードを叩いたりしている。
だが、むつの集中を妨げるように電話が鳴った。すぐに祐斗が出て、対応をしている。
「…はい?あ、変わりましょうか?むつさん、1番宮前さんからお電話です」
顔を上げ、不機嫌そうに目を細めたむつだったが、頷くと渋々と言った感じで出た。
「はい、お電話変わりました。玉奥です
」
『宮前だろ?お前、携帯どうした。電源入ってないみたいだぞ?』
「家に忘れた。何?忙しいんだけど」
『今からそっち行くから、居ろ。もう…そうだな、10分もしたら着くから』
「はー?何で?」
『何ででも。いいから、居ろよ?ちょっとあれだ、よく分かんんないけど…』
「はいはい、じゃあね」
電話をかけてきた冬四郎がまだ何か言っていたが、それを無視してむつは受話器を置いた。