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4話
それぞれが、デスクワークに専念していると、する事のない山上は、ちらっと壁掛けの時計を見た。
「…早いけど、休憩行かないか?久しぶりに全員揃ってるし、皆でランチ行こう」
「たまには、良いですね」
年長者組が頷き合っている。
「どう?」
颯介が隣に居る祐斗に言うと、祐斗は嬉しそうに返事をしたが、むつはまだ画面から視線を外さない。いつの間にか、眉間にシワを寄せて、何やら険しい表情をしている。
「む…」
祐斗がこえをかけようとして、颯介に口を塞がれた。颯介は、むつの表情から何を読み取ったのか、人差し指を口にあてて、しーっと祐斗に言った。
「はぁ、もういい‼やり直す‼あたしも行くぅ」
「…また、ずれたの?」
「うん。どっかでずれたみたい。計算が合わないから、もういい。ご飯食べてから、1からやり直す」
「むつは金の計算細かいよな。赤にならなきゃ適当でもいいだろ?」
「よくないわよ。経費で落として、2人に返さなきゃ…2人が損したら意味ないもん」
「社長が雑すぎたんですよ」
颯介が言うと、山上はうーん?と適当な返事をしつつ、すでに出掛ける用意をしていた。




