3話
「えーっ‼何これ!!」
「どれどれ?」
菜々が叫ぶように言いながら指差した写真をこさめが、覗きこんでいる。たこ焼きを全て焼き終えたむつは、ボウルを片付けて、軽くたこ焼き器を拭き取っている。そして、オリーブオイルを1つ1つに溢さないように垂らした。
「…うわっ、むつ…これ何?」
「えー?どれ?ちょっと待ってよ」
油が暖まるまでの間に、炊飯器を使って作ったローストビーフを取りだし、切り分けて皿に乗せている。別で作っておいたソースを小さなココット皿に乗せた。ベビーリーフと人参のグラッセも添えると、むつはそれを持ってきてこさめに渡した。
「うわ…お店のみたい‼やば…直弥に見せよ。あ、ねぇねぇ、直弥がむつの事も気にしてたし、一緒に撮ろ‼菜々ちゃんも」
テーブルにはオリーブオイルの入った、たこ焼きに飲みかけのワインやビール。ローストビーフの皿を持つこさめを真ん中に、むつと菜々が左右に入った写真を、こさめはにまにまと見ながら篠田に送信した。
「あとで、あたしにも送って」
「あ、あたしも…こさめさん、連絡先交換しませんか?」
「するする‼」
菜々とこさめが連絡先を交換している間に、むつはオリーブオイルの中に刻んだニンニクを少しとパセリを入れた。