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3話
丸い形のたこ焼き器で、丸いたこ焼きが次々に出来ていくのをこさめは面白そうに見ている。焼くのはもっぱら、むつで菜々は熱々のたこ焼きを頬張っている。こさめが熱心に見ているのを、菜々が不思議そうに見ている。だが、手を休めずにたこ焼きを口に入れていく。
「こさめさんって…たこ焼き初めて?」
「初めて。見るのも初めて」
「そうなの!!何で!?」
「直弥が好まない、から?」
「………」
「菜々だって、この前もんじゃ焼き初めて経験したくせに。それと同じだよ」
「むつもね。この前まで牛丼屋さん行った事なかったもんね」
「まぁね。意外と社会に馴染めてないわたし達」
「ね、いい歳なのに。所でさ、こさめさんっておいくつなんですか?見た感じは年下かな、って…」
菜々の手がとまっても、むつは手を休めずに次々とたこ焼きを焼いては、皿に乗せていく。こさめは甘いイチゴのチューハイを呑みながら、首を傾げている。猫としては7歳だが、見た目はむつ達と変わりない年頃のようだ。だが、猫の年齢を人に例えるとしたら40歳を越えるくらいになる。