1話
「神社は少し高い位置にあってな。石段を下りて地蔵を見に行こうってなった時に、場所を説明してなくても祐斗君はすぐに分かってな。で、何でか急いで行ったら近寄らない方が良いって言ったんだよ」
「…お地蔵さんって道に沿ってあるの?」
「いや、神社は大通り沿いにあって。お地蔵さんはその道から少し奥に入った所だな。細い道を入った所にある」
座ったままの西原は、宙に地図を書くように指を動かしている。むつは、それを見ながらふむふむと頷いた。
「祐斗、道に入るまで霊が居る事に気付かなかったの?何でまた…何に気を取られてたの?」
「それはその…説明は難しいです。でも、何かいやーな感じがしてました」
そうと頷いたむつは、祐斗の頭を優しく撫でている。祐斗は申し訳なさそうな顔をしてあいるが、むつは何も言わずによしよしと子供をあやすようにしている。
「むつさん、俺の代わりに行って貰えますか?出来れば今日中には視て貰いたいです」
「………」
むつは渋るような顔をした。それに気付いた祐斗は、少し首を傾げた。
「しゃちょー?事務所に居て。あたしが帰るまで。そしたら行ってくる」
「…仕方ねぇな。祐斗は湯野ちゃん戻ったら送って貰いながら一緒に帰れ。むつ、お前電車使うのか?」
「あ、俺が送り迎えくらいしますよ」
西原が挙手して言うと、山上は頷いた。




