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3話
「お前、急にそれは…流石にどうよ?」
「だ、だって…ずっと誰かがつけてきてて、だから…こさめに菜々を連れて、この先の交番に…ってか、しろーちゃん何してんの?」
「俺か?俺はなぁ…ちょっと仕事で。そしたら、3人を見掛けたから…変な道行くから変だなと思って…」
「…はぁ?」
むつは、へたっと地面に座り込んだ。冬四郎のしどろもどろな説明も、むつには聞こえていないようだった。ついてきていたのが、冬四郎だと分かりむつの緊張の糸は完全に切れてしまっている。
「お、おい…むつ?」
「は、早く声かけてくれたら良いのにぃ」
冬四郎がしゃがみこんで、むつの顔を覗きこむと、むつはぼろっと涙を溢した。
「わ、悪い、ごめんな。女の子ばっかりだと…ほら、菜々ちゃんもこさめさんも知ってはいるけど…なかなか、な…」
むつはごしごしと手のひらで目元を拭った。
「怖がらせたか?ごめんな…」
冬四郎は謝る事と、むつがこれ以上泣かないようにと祈るしか出来なかった。