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3話
スーパーでは、菜々が立て替えておくと言いレジにいる間に、むつとこさめは買った物を袋に詰めていた。
「どうする?」
「…居るよね?スーパーまでは入ってきてない気もするけど。外には居るよね」
「たぶんね。目的が、むつなら囮になって貰いたい所だけど…危ないからねぇ」
「うーん…ちょっと見てこようか?」
「え、バカ?何かあったらどうするのよ」
「だーってさぁ…家バレても危ないよ?うーん…出たとこ勝負?ほら、ワインボトルとか武器になるよ?」
「あんた、札とかは?」
「ない。てか、相手が妖じゃないなら、札なんか使えないってば」
「そうよねぇ…けど、人ならまだ何とかなるかも。あたしとむつなら」
華奢な女の子の言う台詞ではないが、こさめが猫又という妖である事を知っているむつは、こくっと頷いた。
「菜々ちゃん逃がせたら大丈夫だしね」
「だね。ごめんね、こさめ…遊びに来てくれただけのはずなのに…こんな事になっちゃってさ」
「ちょっと楽しいよね。ドキドキする」
「あー…」
こさめは、普段の生活では有り得ない緊張と、恐怖を楽しんでいるようにしか思えず、むつは呆れたような顔をした。