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3話
電車が駅に滑り込むと、むつ、菜々、こさめは、むぎゅむぎゅと押し潰されながらも、どうにか降車口まで行くとぽんっと吐き出されるように出た。
「ふぇ…む、むつ…これ、何の戦い?」
「う、うん…乗り降りの戦い。みんな、基地に帰るんだよ。で、明日はまた出陣…篠田さんも経験してると思うよ?」
「直弥も戦ってるのね…」
「こさめさん、面白い例え方するわね」
くすくすと菜々が笑うと、むつも笑った。こさめは、満員電車で人に酔ったのか、ふらふらしている。
「さ、買い物行こ」
降りた人々が改札を抜け、あたこちに散っていく。あっという間に人が居なくなったが、またすぐに電車が来るようでホームには人が溢れている。
むつは菜々とこさめを連れて、駅の近くにあるスーパーに入っていった。こさめがカートを押し、むつと菜々は蛸を選んだり、ワインを選んだりしてかごにいれていく。菓子も選んだりと、一晩ではこんなに食べられないだろうという量を3人は、かごに入れると満足そうな顔をしていた。




