3話
定時である18時の少し前に、菜々とこさめは戻って来た。2人はいつの間にか、とても仲良くなっているようだった。腕を組んでやってきた2人を見て、むつは首を傾げていた。
「…ちょっとソファーで待っててくれる?」
「はいはーい」
菜々とこさめはソファーに座り、むつが仕事を終えるのを静かに待っている。むつはまだ、帰る支度をせずにかたかたとキーボードを叩いている。
「祐斗、出来た?」
「あ、はい。すみません」
書類を持ってきた祐斗は、緊張したように立ったまま、むつにチェックして貰っている。
「ん、おっけ。今日中に、出しといて。帰りでいいから、ポストにね」
「はい。遅くなって、すみません」
「いいよ。ゆっくりで良いって言ったの、あたしだもん。お疲れ様…ね、颯介さん。社長戻らないけど、あたし良いかな?先に」
「うん。あんまり待たせちゃ悪いし、むっちゃんの仕事は終わってるなら、良いよ。俺が待ってるから」
「ごめんね、お願いします」
むつは机の上を片付けて、山上の分と一緒にマグカップを持ってキッチンに行くと、ざぶざぶと洗った。そして、もうタバコを吸う人が居なくなるからか、灰皿も洗った。