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3話
「向こうも何にも無さそうか?」
「うん。大丈夫そう…2人さ、うちに泊まりに来るんだけどね。迎えに来てくれるって、仕事終わったら」
「そうか。良かったじゃないか…なら、定時で終われよ?たまには、むつも女の子と過ごさないとな」
「うん、ありがとう」
「けど、祐斗のだけは今日中に」
「…祐斗次第だけどねぇ」
むつは、ふぅふぅと冷ましながらコーヒーを飲んだ。休憩は終わりなのか、パソコンを立ち上げると、かたかたとキーボードを打ち始めたが、ふっと携帯を取ると、何か操作した。すぐに、机の上でぶぶっと鳴ると、置いたまま確認し、少し笑みを浮かべていた。こさめに、終わる時間を連絡し、すぐに返事があったのだろう。誰かに見張られ、つけられていたとしても、気心の知れた同士で過ごすのが楽しみなようだった。
しばらくすると、颯介と祐斗も戻ってきた。祐斗は、むつに急かされるようにして、書類の作成を始めた。社員とアルバイト、それぞれが仕事を始めると、山上は少し出てくると言って出ていった。どこに行くとも言わず、誰もどこに行くのかも聞かなかった。




