1話
むつと西原のほのぼのラブーな様子を目の前で見ていた祐斗は、はぁと溜め息をついた。
「…気持ち悪いとかは?喉痛いとか」
「ないですよ。たぶん、強烈すぎて」
祐斗の言う強烈すぎてが仕事に関係する事だと分かったむつは、西原の手を払いのけた。祐斗が起き上がろうとすると、むつは空いた所に座り、祐斗の背中に手を添え額を押して再び横にさせた。むつの太ももに頭を乗せた祐斗は、驚いたようにすぐに起き上がろうとしたが、むつに肩を押されて大人しく横になった。最初は重たくないようにと、軽く乗せていたが疲れてきたのか身動ぎをして身体の位置を調整して、しっかりと頭を乗せた。ほぅと息をついた祐斗は、下からむつを見上げていた。
「…とりあえず、話せるなら報告をして。帰ってきて早々、行けだなんて…よっぽどなんだね?」
「はい…神社は何も居ませんでしたよ。でも、お地蔵さんの近くに行ったらその道に、うようよと…かなり居ました。道を埋め尽くすくらい」
「そんなに?」
「はい。でも、俺も最初は分からなくて…」
むつはその場に一緒に居たはずの西原の方を振り返った。西原はマグカップを持ったまま、ソファーの肘置きに腰掛けている。