3話
「むつ…何が…」
こさめが問い掛けようとすると、からんからんっとドアが開いて、菜々が戻ってきた。
「ごめーんっ」
「ううん。大丈夫なの?」
「あ、全然大丈夫。冬休みに入るのに部活の日程が…だってさ。むつもたまには来る?」
「行こうかなぁ…運動不足解消しに。玲子は元気にしてる?」
「元気よ、むつが居なくなってからはちょっと落ち込んでたけどね。剣道部の先生が、木戸さんの型に柔軟性が出てきたって言ってたわよ」
「そっか…元気なら良かった。ね、菜々は今日中に帰る?大丈夫なら、こさめもうち泊まるし…泊まりに来ない?引っ越ししたから、まだ綺麗だよ」
「え、行く行く‼やったーっ‼でも、むつは仕事よね?こさめさんは、むつの新居知ってます?」
こさめは、ぼろぼろと落ちるタルトに面倒くさくなったのか、手でばくっと口に詰め込んで、頬をぱんぱんにさせながら、ふるふると横に首を振った。
「なら…こさめさんと遊びながら、仕事終わるの待ってるわね。ね、こさめさん観たい映画があるの、一緒に行きませんか?」
まだタルトをもごもごとさせながら、こさめは、こくこくと頷いている。菜々とこさめ、少し気になる組み合わせだが、仕事がある以上は仕方ない。




