117/753
3話
料理と女性からのサービスのコールスローサラダが運ばれてくると、むつは一旦黙った。目の前に並べられていく皿からは、暖かな湯気と共に食欲をそそるような香りが漂っているが、菜々の顔色は良くない。
「食事時の話じゃなかったね…ごめん。食べよっか?美味しいんだよ、ここのん。あたしもよくCランチ頼むし」
「AとBがなくてCなんだね?」
「それは日替りだからね。3つある時もあるし、どれかの時もあるし…気分次第な感じで。こさめ、アルファベットも覚えたんだ?」
「そーやって、すぐバカにする」
実際に、途中からは一緒に行動していたこさめは、話を聞いても大丈夫なのか、海鮮がごろごろと入った餡掛けをスプーンですくって一口食べ、美味しいと言っている。
「それで…最後は?」
「…ま、隠れ家を壊して終わりって感じかな?で、さっきこさめが言った通り、しろーちゃんに引きずられて帰ってきた、と」
「成る程ね。あんたよく…生きてたよね」
「うん。死ぬのかなーって何回も思ったよ」
軽い口調で言ってはいるが、むつの目は真剣そのものだった。