3話
お冷やを飲んだ菜々は、それで?と早速といった感じで口を開いた。むつは、きょとんとしている。
「もう…何があったのか、よ‼あたし何にも知らないのよ?あんた、ちょっと顔変わったし…どうしたのよ」
「顔変わった?整形してないよ?」
「…じゃなくて、そんなの分かってる。顔、雰囲気って言うのかな?」
「うん、顔つき変わった気がする」
菜々とこさめに言われ、むつは自分の顔をぺたぺたと触ってみた。外と歩いたからか、手よりも頬の方が冷たくなっているような気がした。
「まぁ色々、あったし…かな?とりあえず、菜々が知りたいのは事件の事よね?こさめも最後は知らないもんね」
「うん。むつが、しろーに引きずられて戻ってきたのしか知らない。あの後、一言も喋ってくれなかったし」
「ごめん、ごめん…そうねぇ。菜々に分かるように、最初から簡単に話すかね」
かたっと立ち上がったむつは、カウンターから灰皿を取ってきて座った。かちんっとタバコに火をつけると、ゆっくり煙を吐き出した。
「あのね、菜々もあたしが日本刀持ってるの知ってるよね?あれを欲しがる人達がいて、そいつらに拉致られてね…」
むつは随分と昔の事を思い出すかのように、ゆらゆらと立ち上る細いタバコの煙を見つめながら、ゆっくりと話を始めた。




