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3話
外に出たむつは、寒そうにコートのボタンをしめると、どこに行こうかと悩んだ。あまり人が多くては、ゆっくり出来ない。
「ねぇ、何が良い?」
「えー?あたしは、この辺詳しくないし…こさめさんは何が良いですか?」
「何でも良いかな?むつに任すっ‼」
「あたしもこさめさんに賛成」
「えーもう…」
菜々もこさめも何でも良いと言っているが、それが1番困るやつだった。仕方なく、むつはスパゲティ専門の店に行く事にした。安くて、量も調節がきくし、デザート、ドリンクが豊富でゆっくり出来るからだ。それに、最近は行ってないから、むつ自身が行きたかったというのもあったし、薄暗くしてある店内なら、隈も腫れぼったい目も目立たずに済みそうだと思った。
「なら、こっち。文句は受け付けないよ?」
「はーい」
菜々とこさめが揃って返事をすると、むつはくすっと笑った。むつは2人の前に立って歩き、入り口は低く地下に入る狭い階段を下り始めた。




