3話
むつが、菜々とこさめを連れて出ていくと、山上は頬杖をついてにやにやとしていた。
「良いよなぁ、女の子の友情、愛情って」
「朋枝さんとむっちゃんですか?幼稚園から一緒らしいですしね」
「むつと朋枝さんもだけど。こさめさんも。随分と人間くさく…世話焼きな感じになったもんだな」
山上はこさめから受け取った、篠田からだという手土産を、がさがさと開けている。中には、利き酒用の日本酒が入っていた。
「こさめさんは成長してるってーのに、あいつはダメダメだな。まぁた、むつを泣かせたんだろうな」
「…西原さんでふか?」
差し入れの菓子を早速頬張りながら祐斗が言うと、山上は困ったように頷いた。
「何があったか知らねぇけどな。むつ、ありゃあ鶏一で泣いてただけじゃねぇよ」
「お腹空いて寝れなかったは嘘っぽいですもんね。むっちゃんなら、夜中でも何か食べると思いますし」
「散々、泣いて…寝るの遅くなったんだろうな」
ちっと舌打ちを鳴らした山上だったが、篠田からの差し入れは気に入ったようで丁寧に箱を閉めている。
「それで…朋枝さんとこさめさんが来たから、むっちゃんの気分転換にランチに行かせたと?2人が来たのは偶然ですか?出来すぎな気もしますけど…」
「朋枝さんは偶然だろ。あの様子からして…こさめさんは、俺が篠田に頼んだ。近々、手が空いたら、こさめさん連れて来てくれってな。むつが、ちっと元気ないからって…まさか、昨日の今日で、1人でとは思わなかったけどな。事件の事があったから、こさめさん篠田を説得でもして1人でても来たかったのかもな」
「あぁ…」
颯介は山上が言った、女の子の友情、愛情が良いと言ったのは、そういうわけかと思っていた。