3話
「むつ、あたしも…差し入れ。良かったら、皆さんで召し上がってください」
「菜々まで、そんな…遠慮なく頂くね。ありがとうございます」
「うん…でさ、むつ?あんたどーしたの?その顔。事件も終わって、落ち着いたと思ったから押し掛けたんだけど…もしかして、忙しい?」
菜々はむつの目の下を指でなぞった。眼鏡を外して、そのまんまだった事に気付いたむつは、やってしまったと言わんばかりに、額に手をあてた。
「や、忙しくはないよ。祐斗がほら…冬休みで、仕事の方かなり頑張ってくれてるから」
「そのわりに…酷い顔ね」
はっきり、酷い顔と言われ、むつは笑うしかなかった。菜々もこさめもむつの顔を見て、やはり心配そうにしている。
「…むつ、折角だから早めに3人でランチ行ってこいよ。戻るのも、少し遅くなっていいから」
山上が声をかけると、菜々とこさめは嬉しそうに、ぱっと華やかな笑みを浮かべた。
「2人がお前の為に来てくれたんだからな。そんなに、忙しくはないだろ?ゆっくりしてこい」
「…ん、そうさせて貰います。ありがとうございます!!じゃあ、ちょっと待ってて、支度してくる」
むつは2人から貰った差し入れをキッチンに置きに行くと、コートを持ってきた。机に置いてある財布と携帯を持つと、それだけで支度は終わったのか、待っている2人に声をかけた。