3話
「それで、何かあったの?あ、その前に…何で一緒に?」
むつは2人が突然やってきたからには、何かがあったのだと思っているようで、真剣な表情を浮かべている。だが、それを見ると菜々は困ったような顔をした。
「…ごめん、本当に。急に押し掛けちゃって…それに依頼じゃなくって、むつの顔を見に来たの。ほら、この前…色々あったでしょ?ニュースにもなっちゃったりして…だから、大丈夫かなって…連絡取ってても顔見ないとやっぱ、信用出来ないじゃない?あんた、大丈夫じゃなくても大丈夫って言うから」
菜々が言うと、むつは目を真ん丸にして驚いていたが、菜々が申し訳なさそうに言うのを聞いてか、柔らかい笑みを浮かべた。菜々が本当に、心配をして来てくれたのだと分かったからだろう。むつの目が少し潤んでいた。
「あたしこそ、ごめんね。心配かけて…いや、全然…来てくれて嬉しい、本当に。ありがと」
立ち上がり、菜々の隣に座ったむつが菜々の手をぎゅっと握ると菜々は、くしゃっと顔を歪めた。そして、がばっとむつに抱き付いた。
「もーっ‼本当、本当に心配したんだから‼あたし、まじでむつの家にも電話して、おば様にも聞いたんだからね!!あんたが死んだってニュース出た時も、急に、むつだよーっとか電話してきた時も、むつを騙るくそ野郎からだと思ったから、またおば様に連絡して…何なの‼あんた‼」
「あ、ごめんって…連絡遅くなっちゃたし、軽めにいこうと思ったら、ね…」
「かっ、軽めで済むか‼ばかちんっ‼」
「はい、すみません…無事です」
怒られているはずのむつだが、口元は緩んでにこにことしている。そんな様子を、こさめもにこにこと見守っている。




