3話
「な…」
がたんっと立ち上がったむつは、呆然とした様子ではあったが、だんだんと、目を細めていき本当に嬉しそうな顔をして笑った。
「菜々まで…どうしたの?何で一緒に?
」
祐斗に促されて入ってきた女2人は、へへっと同じ様に照れたような笑みを浮かべた。
黒髪でほっそりとし猫のように、きゅっとした目をしているこさめと、暗めの茶髪を巻き、しっかりメイクの朋枝菜々は、対照的ではあるがどちらも見応えのある、美人と言えるだろう。
「来ちゃった。むつ、元気かなーって」
「あたしも…同じく。ごめんね、仕事中に」
「え…う、うん…大丈夫。今日は事務仕事しかない予定だから…とりあえず、奥に」
むつがソファーの方に案内すると、とことこっとこさめは山上の前に行き、ぺこっと頭を下げた。そして、紙袋から箱を出すと篠田からです、と言い差し出した。少し驚いたような顔の山上だったが、礼を言って受け取っていた。
「…ちょっと模様替えした?この前、来た時と違う気がするけど」
菜々が言うと、むつは適当に笑って頷くだけだった。菜々とこさめが座ると、祐斗がすぐに紅茶をいれてもってきた。砂糖とミルクも置いて、すぐに立ち去っていく。




