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3話
書き込みが多いのか、むつの作業はなかなか終わらない。祐斗は、はらはらしながら、書類が戻ってくるのを待っている。
「…こんなもんかな?はい。やり直しね」
「はい。すみません…」
「うん。急がなくていいから今日中ね」
2部程度の報告書と請求書なら、午前中でも余裕で終わるはずだが、むつは今日中で言いと言った。それは、他に仕事もないし、忙しくはないからだろう。祐斗は盛大に書き込みが入った書類を受け取り、頭を下げると少ししょんぼりした様子で席に戻った。
「ほれ、見ろ。祐斗にまだまだ全部を任せられないだろ?」
「そうかもね。でも、うん…だいぶマシ。この前、祐斗が授業で書いたレポートも見たけど、かなりマシになってたもん」
少しでも誉められた祐斗は、嬉しそうにむつを見た。むつも少し微笑んでいる。祐斗が少しずつでも成長しているのが、目に見えているだけに喜ばしいのだろう。
「あ…むつさん、聞きたい事があったんですけど。いいですか?」
「うん、どうしたの?」