3話
昨日は、揃いも揃って散々な夜だったようだ。むつだけじゃなく、他の3人の目の下にも隈が出来ている。仲間だ、とむつは思い、くすくすと笑いながら話を聞いている。今日は特に仕事に依頼が入っているわけでもなく、ゆっくりデスクワークをして終われそうだった。
しばらくは、夜の事を聞いてコーヒーを飲みながら、ゆっくりした時間を過ごしていたが、それでも仕事をする気があるようで、話が一段落つくと、むつと颯介はパソコンを立ち上げた。
「あ、そうそう。祐斗、報告書と請求書は?先輩が早めに回してくれって…」
「は、はい。チェックお願いします」
立ち上がった祐斗がむつの所に、クリップで止めてある紙を持ってきた。斜め前に居るから、手を伸ばして渡しても良いはずだが、それはさせないし、しない。
「んー」
クリップで止め2枚ずつになっている紙が2部。冬四郎からの依頼と西原からの依頼の分だ。眼鏡を押し上げて、むつは祐斗が作成した書類に目を通している。そして、机の端のペン立てからボールペンを取ると、書類に直に書き込みを始めた。すぐ側で見ている祐斗は、あぁと思いながらもそれが終わるのを立って待っている。会社として、業務内容としても怪しさ満点の会社ではあるが、一応の上下関係や礼儀は、きちんとしている。