その瞳に映るもの
よろしくお願いします。
もしも…もしも…貴方に贈る物があったとして、私はそれを渡す
ことができただろうか。
答えは否である。
なぜなら貴方の瞳に私は映らないから。
私が貴方に向けていた視線は、その声はもう貴方が忘れてしまったもの。
何度も声をかけた。
「ねえ」
「すきだよ」
「愛してる」
届かない…届くはずがない。
せめて覚えていてほしい。そう願う。
忘れて素敵な人と結ばれてほしい。そうも思う。
抑えきれない感情と抑えるための建前が流せない涙に変わる。
「ねえ」
不意に届く言葉。
「忘れないよ」
それは誰にかけられた言葉だったか。
きっと私ではない誰かだろう。
貴方の瞳に私は映らない。
「忘れないで」
その言葉は……
ありがとうございました。