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ゆーづきしの2²  作者: NiR_aSaKi
6/8

自己、他己紹介 大夏編

登場人物

・大夏

なんだかんだいつだって今が一番なのだ。


・平

最近流れるようなツッコミが出来るようになってきたとの自負。


・西夏

割と普段の不満は溜まっていたけど、わいr……普段から優しく健気で可愛い姉のためにスイーツバイキングを奢ってくれた弟のために、頑張っていい感じに纏めた。

・大夏

俺の名前は大夏、現在は夕月大学の経済学部の2回生だ。今まで物心ついた頃からずっと野球をやっており、自慢じゃないがドラフト1 候補になったこともあるほどだった。しかし俺は今野球から距離を置いている。それは野球をする事は息苦しくなってしまったからだ。自分が周りの期待に応え結果を出すたびに周りからの評価と期待は積み重なり、対戦相手と戦うのではなく目に見えないプレッシャーとの戦いになってしまっていたのだ。もちろん野球は今でも大好きで定期的にグローブの手入れを行なう程……というよりも気づくと勝手に手がグローブを磨いてしまったりするほどだ。ただ、俺は野球が好きだからやっていただけで、別にプロになりたいとは思っていなかった。だから一度野球から距離をとったのだ。しかしそうして初めて俺は考えることになる。「俺から野球を取ったら一体何が残るのだ。俺は一体何をしたいのだ」と。受験勉強をしているときは勉強に必死でそんなことを考える余裕はなかったが、いざ合格してしまえばその当たり前ともいえるような疑問が自分の前に立ち塞がった。そんな時だ、俺が自分の居場所を、最高の友人達と出会ったのは。ある事件をきっかけに俺は彼らの探偵業を手伝うことになり、その過程で自らを見つめ直すことになったのだ。その事件についてはいずれ語ることがあるかもしれない。とにかく俺は今、楽しく暮らせているのだ。きっとそれが全てなんだと思う。



・平

大夏と言う男は、一言で言ってしまえば「愚直な男」である。それは何も愚かだと言うことではなく、物事に向き合う姿勢がただただひたすらまっすぐなのだ。それが顕著に現れているのは、彼が高校3年生の時に話題になった「グランドスラム事件」の時だろう。それは彼が高校野球の地方大会決勝戦当日の朝に巻き込まれた事件であり、本来であれば巻き込まれずともよかった事件である。少なくとも僕が彼と同じ立場であったら、ほんの少しの罪悪感を感じつつも、チームの柱として甲子園行きをかけた決戦に挑んだことだろう。

彼は道に迷った老人を近くの地方銀行に案内した。普通であればそこで別れて別れるところであるが、彼は行きの道がわからないのだから帰り道もわからないのではないかと考えたのだ。幸い時間に余裕を持って出たため、老人が銀行から出てくるまで待っても問題ないと考えたらしい。(僕は疑問に思ったが、銀行は普通9時に開く。そして当日決勝戦は10時開始予定であった。いくら銀行は近かったとしても明らかに集合時間を遅刻しているのではないかと僕は考えているのだが……)関係ないことかもしれないが、大夏の数少ない欠点の1つは遅刻癖である。頻度は比較的少ないのだが、どんなに重要な場面でも全く以て悪びれず遅れてくることがあるのだ。

話が逸れた。そして今日の試合に思いを馳せていた大夏は開店したばかりだと言うのに閉まるシャッターに気づかなかったそうだ。いや気づけよ、どんだけ想い馳せてるんだよ。そんなに想うならさっさと球場行けよ。……そして巻き込まれた銀行強盗事件。彼は途中までおとなしくしていたとのこと。強盗側もお客や店員に無茶な要求はせず、おとなしくすることと外部との連絡手段を全て強盗側に提出することのみ要求したとの事。なお大夏は試合の進行が気になった為、出したフリしてずっとワンセグで試合経過を観戦したいたそうだ。いや、リスク考えて提出しろよ。ってか話の最初に出てた老人を気にしろよ。せめて外部と連絡取る努力くらいしろ。

そのままおとなしくしていれば、銀行側に被害が出ても人的被害はなく終わった。だが、試合は甲子園常連である対戦校が優位に進んでいた。そら主将で4番キャッチャーでホームランの高校生記録にリーチかけてる奴が当日連絡無しでいきなり来なかったらそうなるわ。試合が5回を終えグランド整備に入ったタイミングだった。吹奏楽部員として球場にいた西夏から「死か、くるか」と言うメッセージが飛んできたとのこと。事件が起きてから2時間近く経って初めて大夏は動き始めた。『そうだ、俺はこんなところで油を売ってる暇はない。球を打つ暇しかないのだ』と。いや、上手いこと言おうとして言えてないし、そうだってなるまで2時間かかるってちょっと遅すぎやしませんかね……。

そして試合が7回を終える頃に大夏は事件を解決した。警察の車両に送られ球場に着いたときには3点差で負けており、自分チームの攻撃9回裏ツーアウト満塁であったのだ。大夏はそのまま代打として打席に立ち逆転サヨナラ満塁のホームランをバックスクリーンに叩き込み、甲子園出場を決めたのだった。それは決して大夏だけが起こした奇跡ではない。自分が来るまで必死で場を繋いだ後輩キャッチャーや、エース。そして泥くさく最後の最後まで耐久作戦で粘って相手エースの制球が甘くなるまでひたすら耐え抜いて、最終回の逆転チャンスを繋いでくれたチームメイトあってこそのことだったのだ。決して、西夏から「お前の誠意は死か、勝利か」と脅されたからではない。そう、決して大夏がホームラン宣言の上グランドスラム(野球用語で満塁本塁打を指す)を叩き込んだのは、敬愛する姉、自分の半身とも言える西夏がブチ切れていたからではないのだ、多分、きっと、メイビー。

そしてヒーロー大夏は全国に認知されるようになった。甲子園においてもその高い野球センス、技術、そして異常ともいえる勝負強さを存分に発揮し一躍ドラフト1位候補に躍り出たのであった。ちなみに甲子園は近くのホテルを借りてそっから球場まで産地直送だった為、試合に遅刻することはなかったとのこと。


これが「グランドスラム事件」の全容だ。ここまで話しておいてなんだが、こいつ実は全くもって実直じゃないんじゃないかと僕は思い始めた。いや全然顕著じゃないやん。



・西夏

大夏は私の双子の弟だ。といっても二卵性双児なのであまり似ていないが。大夏は周りからしっかりしているとか、誠実であるだとか評されているが、実際はそんなことはない。あの「グランドスラム事件」の時からは世間からヒーロー扱いされるようになったけど、私にとってはいつになっても手がかかる弟だ。まず時間を守れない。と言うのも別段寝坊等するわけでは無いのだが、何か他に気を取られると、待ち合わせ等の優先順位が下がってしまうのだ。だから私はいつも大夏のケツを蹴飛ばすことになる。学校の宿題もやらないことがある。例えば小学校の夏休みの宿題も少しずつ片付けてはいくものの、それが期限に間に合わなさそうであればすんなり諦めてしまう。そんな大夏には、1つ大きな長所がある。それは誰にでも優しいと言うことだ。みんなは野球の事しか目がいかないみたいだけど、大夏はとっても優しい。小学校の頃、転校してきたばかりでみんなの輪に入れなかった子がいた。大夏はそんな子にも率先して声をかけ、みんなの話の中に入れていた。また、野球が上達しなくてやめてしまおうとしていたチームメートにも自分の練習時間を割いて練習に付き合っていた。私はそんな優しい大夏が大好きだ。……でも、いい加減スケジュール管理を私にやらせるのは卒業してほしいとは思っている。


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