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ゆーづきしの2²  作者: NiR_aSaKi
5/8

スタミナ太郎行きたくなってくる(かも知れない)お話

今回の登場人物


・平:自分こそが1番賢いと思っている愚か者。

・柲:最近春と遊ぶ、というより春で遊ぶことを覚えたドルオタの風上にもおけない奴。なお本人はドルオタを自称したことがない模様。

・>>1:人生で使ってみたい台詞ランキング一桁台を使えてご満悦

・大夏:USA土産を買い忘れた(ただし、そんな暇も金も無かったものする)ため、西夏のご機嫌取りが必要になってしまった哀れなお兄ちゃん。


夕月市7代山脈……それは7つの大罪として表現されることがある。

すなわち嫉妬、怠惰、食欲、色欲、傲慢、強欲、憤怒である。

我々はふとした事(琴子からの折檻)により、色欲:チョコ乱馬に挑み、そして打ち勝ったわけだが(幕間に、春が)、その達成感(賞金:1万円)といったら今までの人生バイトがバカらしくなるほど(春任せで自動で金が入ってくる)のものだった。

そこで我々調査班(実働するとは言っていない)は次なる山脈に挑むべく、先ずはその正体を探る所から始めるのであった……。


「というわけで僕らは謎のベールに包まれた残りの6山脈に挑もうと思うのだけれども、誰かこの山脈について情報を持っていないか」

僕は皆を、柲に撫でまわされる春から目を背けつつ、見回しながら声をかけた。

「議長、それに関してなんだか俺から報告がある」

金欠ながら大食であるアスリートたちと親交の深い大夏が声を上げた。そして……金欠なのは大夏も変わりなかった。

「他の奴らから概要を聞いてきたんだ」

そう言い大夏はウィスプに以下の情報を挙げた。すなわち、


1:嫉妬 ダイエットメニューの山盛り

2:憤怒 激辛(痛い)

3:食欲 店主より早く食べる

4:色欲 チョコ乱馬

5:強欲 寿司、ラーメン、カレーの3品。そして底無し

6:傲慢 ゲテモノ(ただし美味い)

7:怠惰 鍋(作るところから計測開始)


ざっと目を通してみたが、メニューというか、いくつかアトラクションみたいなものを混じっていないか。つーか痛いってなんだよ食べ物じゃないのか。

僕は疑問に思ったが、自分が挑むわけではないのでその疑問をゴミ箱にスラムダンクすることを決めた。

「なるほど、7大山脈に数えられるだけあってどれもこれも一癖ありそうだ」

そう無難に受け流しつつ、春に話を振った。

「お前はどれから挑みたい」

「痛いのは嫌だなぁ……おいしいもの食べたいから強欲にするぞ!」

既に全てを山脈を制覇する事が決まっていることと知らず、春はそう答えた。ちなみに柲は最初春ちゃん虐待だと反対していたものの、激辛メニューを食べてヒイヒイ言っている春を見ることができるとけしかけたところ、快諾するに至った。いやー、話のわかるやまとなでしこだな!

「わかった、春がそういうならそうしよう。>>1、詳細の調査を頼む」

「そんなこともあろうかと、もう調べておいたもな」

片手でドクターペッパーを啜りつつ、もう片方の手でタブレットPC操る>>1が言った。流石>>1さん、そこに痺れる憧れるぅ!!

「メニュー名は、欲張り!黄金に輝く海原のようにあなたの食欲を満たすセット〜お好きなメニューをお選びいただけます〜 で、注文できるのはお一人様だけ。料理のシェアは一切認められていないもな」

「チョコ乱馬とはうってかわってネーミングセンスに疑問しか浮かびませんね」

春と戯れたからか、心なしか肌艶が良い柲はそう評価した。

「ネーミングセンスだけじゃなくて、その量も問題なんだもな。……最低9人前からなんだもな」

「はえ〜」

最低9人前、そう聞いて思わず気の抜けた声が口から漏れてしまった。しかし、そんな僕とは打って変わって春はやる気に満ちているようだった。

「最低、と言ったな?」

「最低、と言ったもな。このメニューはデフォルトで、ラーメンとカレーとお寿司がついてくるもな。その量が、各3人前なんだもな。そして、そこから追加で食べるほど上賞金は上がっていくもな。ただし、最初の注文時にすべてのメニュー、すべての量を決めておかなければならないもな。もちろん量が多いほど罰金は雪だるま式に増えるもな」

「いいや違うさ」

僕は嘯く。



「各9人前だろ?」



一同の視線が集まる。その視線の意味は各々で違っていたが、一際は強い感情をはらむ視線をぶつける者がいた。そう、春だ。

「平、お前今なんて言った」

「当たり前のことさ」

僕はにやけながら返した。春は数秒、真顔のままでいた。そして、ニヒルに成れなかったアヒルのように口角を上げ、こう返した。

「……へへっ流石は平だ! そうだよな、相手の決めたおこちゃま向けの甘々なルールに甘えてしまったら、男とは言えねーよな!」

何が流石なのかはよくわからないが、嬉しそうに春は続ける。

「俺はな、このメニューを見てこう思ったんだ。そう、タンパク質が足りねぇってな!」

ノリで生きているところがある春は急上昇を続けるテンションに従いその腰を上げ、外に向かう。

「行くのか、春」

大夏は春に問う。春はお気にのミリタリージャケットを翻しながら、

「ああ、この熱さのまま山脈を踏破したいんだ!」

その言葉を聞き、僕らは顔を見合わせ大きくうなずいた。もちろんそれは、春の熱さに感化され気分が高揚したから……と言う事は全くもってなく、前もって打ち合わせしていた通りに話は転がったことを確認するための意思疎通であった。そう、そして勝負はここからだった。


「タンパク質……プロテインだな!」

大夏が先制攻撃を仕掛ける。

「いや、春氏はこのメニューの並びを見てこう思ったはずだもな。ハンバーグが足りないと……!」

>>1も続いた。

「いいえ、春ちゃんは焼肉が食べたいはずです!」

遅れまいと柲も続く。彼らは醜いことに、自分の指定した内容を相手が選ぶかどうかについて賭け事を行っていたのだ。そんな彼らを一瞥し、僕はこう締めくくった。

「確かにお前に足りないのはタンパク質だ。そして3人前だ」

内容なのだから、別にメニューじゃなくてもいいんじゃろ? そう世界に問いかける僕の秘策が火を吹いた。27人前は、中途半端だよなぁ!⁇ ……つーかなんだよプロテインって。


そんな心理戦をよそに、上がった熱を馬耳東風で冷ますかのごとく春はこう呟いた。

「カレーは玄米、ラーメンにはチャーシュー、寿司は白身魚を多めに握ってもらおう……!」

賞金に興味のない春はほどほどに強欲で、僕らよりも謙虚であるのだった。


登場しなかった人


・逢、西夏:太りそうな話題はNO

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