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第四嫁 幼女地獄 その三

 またもや寝ているところに、扉が開く音がした。まったくおちおち夢想、もとい寝てもいられない。これではルゥがいた時と変わらないじゃないか。

 変わった点といえば、血が溜まる場所が上か下かだ。

 今更クレテが命を狙っているとは思えない。リルミムは疲れている僕に対して、夜這いをしかけるような真似はしない。とすると、トルテが濃厚だな。

 よし、今回こそは寝ぼけたふりをして胸を揉むぞ。寝ぼけている人間の行動は、不可抗力だから仕方ない。僕は何も悪くない。

 ギチッと、少し乱暴にベッドへ乗る感覚。そしてまたが……らないのかよ。

 足元の毛布を持ち上げられ、這い上がってくるように悶えている。入り込んできているのだろう。

 よし、揉むぞ。不自然にならぬように、手をこう、躊躇せず大胆に……。

 あれ、無い? 無い! ここにあるはずの、たゆたゆの……どういうことだ!

 まさかおなか? いや、このこりこりは間違いなく……だよな。

「くすぐったいよぅ」

 こ、この声は。

「え……えんり! なんでこんなところに」

 なんてことだ、子供の胸をまさぐってしまった。

 そしてさらになんてことだ。その行いに賛同する部位がある。

 賛同なんて生易しいものではない。大絶賛だ。諸手を挙げるように持ち上がっている。

「あのね、知らないところだから、一人で寝るの、怖いの」

「だ、だからってね」

「えんりはお嫁さんなんだし、いいでしょ」

 まあいいか、相手は子供だ。

 …………いや、やっぱよくない。

 小さい子なんて動物と大差無いなんて思っていたのだが、これはかなり危険だ。

 なにこの、やわらかくて温かい感触。そして欲情をかきたてるような匂い。

 気にしてはいけない、子供じゃないか。

 それなのに僕の三日月は、これでもかというくらいに仕事の準備をしている。

 スタンバーイ、スタンバーイ……GO!

 GO! じゃねぇよ、じっと耐えていろ。

「ね、後ろからぎゅってして」

 嫌だ。そんなことをしたら、僕の活火山が大噴火を起こす。

「いいから早く寝なさい」

「むぅーっ」

 ぎゅっとしてくれないのが嫌らしく、僕の前に回りこみ、背を向けてきた。

おいこら、腰の辺りに尻を押し付けて来ないでくれ。こすれるから。

 やばいと感じ、ちょっと体をよじったら、何故か空いている空間にスルっと入った。

 なんでこんなところに空間が?

 尻にある空間……といえば、谷だな。

 しまった、正解した途端、ご褒美とばかりに両側から圧迫された。

 尻に挟まってる! なにこれ、なにこれ!

「お尻むずむずするよぅ」

 こっちはむずむずどころじゃないんだよ! 助けて!

 クリームのようにやわらかく、そして熱いその場所は、最高にして最悪の場所だった。

 動かないでくれ、暴発するってば。もしこんなところで出したら、また昼過ぎのごたごたをやり直さなくてはいけない。しかも逃げ場無しで。

 言い訳は考えない。もし考えてしまうと気持ちに余裕ができてしまい、絶対に出してしまうからだ。

 あとは僕のピュアな部分が、どれだけがんばってくれるかだ。

 静まれ、僕のピュア!

 ──などと色々くだらないことを頭に張り巡らせて煩悩と戦っている中、ふと気付いたら寝息が聞こえる。

 僕の戦いをよそに、えんりは寝てしまっていた。

 よかった、僕はまだ生きていてもいいんだ。

 あらぬ誤解をされないように、今日は書斎で夜を明かすかな。


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