第四嫁 幼女地獄 その一
いつものように買い物を終え、帰宅をする道すがら、ケープに違和感があった。まるで荷がくくりつけられたような感覚。ちょっと引っ張ってみよう。
「ふびゃぁっ」
何かが鳴いた。どうやら荷がくくりつけられているのではなく、掴まれていたようだ。
その正体はとても小さな少女で、大きな目とツインテールが特徴的だ。
なんで僕のケープに捕まっていたのだろう。誰かと間違えているのか。
「どうしたのかな? お母さんとはぐれちゃった?」
「ねえね、お兄ちゃん」
「うん? なにかな」
僕の顔を見上げながら、笑顔で話しかけてくる少女からは、迷子で不安になっている様は受け取れなかった。
「えっとね、白いケープをしている人が、ルゥさんなんだって」
うっぷ……、いきなり吐き気が。もしかして、いや、もしかしなくても、アレか? アレなのか?
「あの、もしかしてきみは……」
「えんりはね、ルゥさんのお嫁さんなんだよ!」
こ、ここ、こんな小さな子まで、一体どういうつもりだあのケダモノは!
「殺す、絶対に殺してやる! あのアホ魔術士!」
思わず口から本音が漏れてしまった。
だけど今までの経緯から察するに、きっとやむをえない事情があるのだろう。
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもないよ」
どうしたものだろうか。このまま連れて帰ったら、絶対に一波乱ある。
だからといって、こんな小さな子を一人残すわけにもいかない。
……腹をくくるしかない。




