肛門の魔術師
えーと、おふざけで書きました。乱文で雑でへたくそでそれこそ糞(ここは笑うポイントである)かもしれませんが読んでいただければ幸いです。
大変である。本当に超ヤバい。何がヤバくて大変なのかそれは順を追って話していこう。
ただいまの時刻は午前9時45分。5分ほど前に2時間目の授業の開始を知らせるチャイムが鳴ったばかりだ。
俺は今、普段授業が行われているのホームルーム教室から移動して南棟(特別棟とも呼ばれる)の3階で音楽の授業に従事している。
そう、仮にそれだけなら「へーあと45分授業があるんだね長いね頑張ってね!」で済まされるお話だ。しかし、今回はそうはいかない。なぜなら俺の人生で前代未聞のすごい腹痛が俺を襲っているからである。
じゃあ抜け出せよと思われるかもしれない。しかしそれは不可能だ。俺たちのグループ(3人1組かっこよくいうならスリーマンセル)のギター発表題目「禁じられた遊び」が今まさに始まろうとしていたからだ。
俺は思えば今まで枚挙にいとまがないほどの修羅場を潜り抜けて来たいわば歴戦の戦士。肛門の魔術結界を張ることに関しては他の追随を許さない自信があった。
今回のサーヴァント(今回は便宜上腹痛のことをこう呼ぶ)は今まで戦ってきた中で最強といっても過言ではない。
その上「禁じられた遊び」という天上の音色を得た肛門を打ち破らんとするサーヴァントは天下無双と形容してもなんら差支えないほどの強大な魔力、そしてアドヴァンテージを有していた。
どうやら俺は背水の陣を迎えているようである。そしてこれは天王山の戦い。俺はこの戦いに勝利することによって有頂天の喜びを得ることが出来るだろう。
つまり肛門の魔術結界は鉄壁になり腸に江戸城を築けるということだ。しかし戦争状態は芳しくなく、例えるなら桶狭間の戦いくらいの戦力差はありそうなものである。
閑話休題。
俺に許された時間はあと何分あるだろう。
おそらくもう永くはない。
天上の音色が教室全体に響き渡る。サーヴァントによる武装攻撃は激化したように感じられる。
俺のような歴戦の戦士にも魔力の枯渇はある。
今までの経験から察するにすでに半分程度の魔力を消費しているだろう。天上の音色の旋律と相まってサーヴァントの勢いは増すばかりだ。
俺はここで勝負に出るしかない、そう思った。
気が付けば、俺は魔笛を放り投げていた。床へダイビングし3バウンド。魔笛はけたたましい悲鳴をあげたかのようであった。
俺はこうしてまず第一の敵、魔笛をブレイクスルーした。
しかしここからが本当の戦いであるかのように感じられた。まず俺は魔力の希薄な流れを空気中から吸収し魔力回復(深呼吸)に勤しむ。
これは俺が窮地に陥った時必ず駆使する奥義のひとつである。これで魔力はあと半分くらいまで回復しただろうか。
俺の今回の戦法は、出来うる限り守りに徹した戦闘スタイルである。だからここからは魔力消費を極限まで減らしゆっくりと前進をすることを決心していた。
魔力を足全体に集中する。それに伴って薄い魔力の層が生み出されけっして足が地面から離れることはなくなる。そうして俺は勝利への階を下り始めた。
勝利条件となる平和の園ラバトリーは北校舎の1階である。つまりこの階を無事下ることができればほぼ勝利は確定するようなものなのだ。
階は一段一段ごく僅かではあるが、それでも確実に俺の身体を蝕む。これはサーヴァントの使い魔と形容するのが正しいかもしれない。
2階に差し掛かった時、魔力の消耗が次第に顕著に感じられるようになった。これは俺の身体が警鐘を鳴らしている。魔力結界にひびが入ったに違いない。
また、俺は本能的にこの警鐘が何を示しているのかを瞬時に感じ取った。そう、汚穢の突出部が姿を現したのだ……
ここで動けば殺られる……
そう告げる自身に宿る本能という名の獣。
ここまでの窮地に陥ったのは初めてであった。
どんな時でも冷戦沈着に数々の難事業を確実に成し遂げてきた、歴戦の戦士としての自分。
だが背後まで迫る敗北に恐怖し、絶望しなすすべがない。
自分は正に井の中の蛙であった、自分のまだまだ知らないフロンティア、未知なる敵は数知れず存在しているそう思った。
ほどなくして、敗北をつげる鎮魂歌がけたたましく鳴り響くと同時に俺の魔術結界は完全に崩落し、汚穢がその全貌をあらわした。
5分。それは敗北を実感するのに要した時間であった。放心状態から脱した俺はせめて、勝者へ敬意を払うのがエチケットと思い汚穢をズボンの裾より洩らしながら北棟1階の男子トイレへと向かった。
――もっと強くなりたい
そう胸に抱きながら。
最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。糞感謝してます。