15
「ジルベールと親友になった」
「そうか! よかったな!」
早合点でもなんでも、嬉しいと言われたのだから親友ということにした。ヴァルに報告すると、輝かんばかりの笑顔を浮かべている。
「ところで親友って、何をするんだ?」
「えっ?」
友の前に親しいつけるのだから、友達より上のはずだ。それは分かるけれど、具体的に親友になると今までと何が変わるのかが分からない。ヴァルなら何か知っているだろうと、尋ねると動きを止めてしまった。何か不味いことを、いっただろうか。
「友達と違う何かを、した方がいいのか? 親友だし」
「そっ、そうだな……」
あからさまに、目が泳ぎ始めた。
もしやヴァルもボッチなのだろうか。そういえば結構長い付き合いだけれど、親しい誰かを紹介されたことない。
「もしかして親友……友達いないのか?」
「そっそんなことは、ないぞ。いる友達くらいは……いる」
「無理しなくて良いぞ。俺もジルベール以外は、いない」
聞かない方が、良かったのかも知れない。どんどんと、尻すぼみになってくる。
「ヴァルは何処出身なんだ?」
「えっ?」
なんとも居心地が悪そうにしているから、話を変えることにした。それにもしかして故郷なら、友達がいるかもしれないだろう。付き合いが長いのに、こんな話もしたことがないからちょうどいいかもしれない。
―― 不味かっただろうか
けど口にしてから、後悔する。ヴァルが戸惑った顔を、したからだ。
―― そうだヴァルは、お助けキャラ
モブよりは上の存在だが、故郷だ家族だとかいう所々の設定がない可能性もある。迂闊だった。聞かれても答えられない話題を、向けるべきではなかった。
「……ここよりは、だいぶ寒いところだよ」
「そうなのか」
少しの沈黙の後に、具体的な国名は言わずに答えてくれた。もしかしたらそんな設定がないから、分からないとも言えずに曖昧にしたのかもしれない。
―― あんまり聞かない方が良いか
俺もそうだが攻略キャラでもなければ、詳細な設定はない。聞かれても困るだけだろうから、止めておくことにした。
―― そういえば
ヴァルの適性が、何かも知らないな。
前に聞いたことがあったけれど、術を構築できるほどの魔力がないのだと言われてそれ以上は聞けなかった。
適性はそれぞれで、レベルも同じだ。俺みたいなモブがいくら頑張っても、レベル50くらいしかいかない。けど攻略キャラは、レベルMAXまで上げようと思えばいける。一概に適性がこうだと言っても、差はかなりあるんだ。
術が全く使えないという人は見たことはないけれど、もしヴァルがそうなら傷つけるだけだろうから追求しないことにしたんだ。
「そうだ、これ。ジルベールから、ヴァルにも渡してくれって」
「俺に? そうか、ありがとう。今度会ったら礼を言うよ。学園であったときにも、礼を言っていたと伝えてくれるか?」
「ああ」
帰り際に茶葉を、渡された。そのときヴァルにもって、二袋くれたんだ。お茶の感想を貰うのが楽しみって言ってたから、俺以外の感想もほしかったに違いない。
お茶の袋を大切なモノを受け取るように、両手で持っている。さっき暗い顔をしたけれど、今は嬉しそうだ。
―― うん、そうだ。別に知らなくてもいい
長い付き合いの割には、知らないことの方が多い。けどそれでもヴァルが大切なのは、変わらない。だから知らないままでも、それで良い。嬉しそうに帰ったら飲むと言っている姿を見て、そう思えた。




